フェーズフリーの“非常時”を明らかにする「被害レベル」とは

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日常時から愛用しているものを非常時にも役立てられるのがフェーズフリーですが、“非常時”とは具体的にどんなことが起きている時なのでしょうか。

近年多発している豪雨災害を考えてみても、ある日突然洪水が街を襲うわけではありません。一滴の雨粒が落ちてくるところから周囲が見えなくなるほどの雨が降り続く状況まで時間を追って変化し、最終的に水害が発生します。

つまり、たとえば雨の降りはじめから洪水が発生するまでの状況は連続的につながっています。このような連続的な変化を、予想される被害レベルにより大まかに5つの段階に区分したものがフェーズフリーの“被害のレベル”です。 フェーズフリーの「非常時」を具体的にイメージできる “被害のレベル”について解説します

フェーズフリーの非常時はありふれた出来事から始まる

一般的に「非常時」「災害時」というと何か大きな事件や事故、災害などが発生した状況が思い浮かぶかもしれません。

しかしフェーズフリーな商品やサービスを考える際には、もっと身近な出来事に注目することが大切です。

たとえばランチのトマトソースが洋服にシミを作ったときや、よちよち歩きの子どもが転んで大声で泣き出したとき、あるいは指にとげが刺さったときなど、ちょっとした出来事でふだんの暮らしの快適さが明らかに損なわれる瞬間があります。

フェーズフリーではそういった出来事が起きたとき、つまり快適な日常生活から一歩でも離れた時点から「非常時」であると考えます。小さな変化がより大きな変化となり、私たちを日常から大きくへただった状況に追い込むかもしれないからです。

つまりフェーズフリーな商品やサービスに求められるのは、必ずしも一般的な意味での“災害時・非常時”に役立つことだけではありません。

ふだんから身のまわりに置いて役立つのと同時に、日常生活に何かネガティブな変化が起きたときに、それまでの快適な生活の維持に貢献できることなのです。

そこで明らかにする必要があるのは、商品やサービスがどの程度の変化に対応できるのか、という点です。そのヒントとなるよう、フェーズフリーでは被害のレベルをおおよそ5つに区分しています。

Level 01 出来事~事故

被害区分のレベル01は、「出来事」から「事故」までとなっています。「出来事」とは、いつもとは違う重要な出来事や事件のことです。「事故」とは、偶然または不慮の人的被害・器物破壊をもたらすよくない出来事、事故や災難を表します。

Level 02 小事件~緊急事態

被害区分のレベル02は、「小事件」から「緊急事態」までとなっています。「小事件」とは重大事件に発展する危険性を持つ出来事、「緊急事態」とは緊急対応を要する不意の危険な状況を表します。

Level 03 緊急事態~危機

被害区分のレベル03は、「緊急事態」から「危機」までの段階です。「緊急事態」は緊急に対処しなければならない不意の危険な状況、「危機」は、より危険で深刻な状況を避けるため緊急対応を要する状況です。

危機の段階ではすでに多くの対処すべき問題をかかえており、現在の危険を超えると事態がより深刻な状況に達する重大な局面といえます。

Level 04 危機~災害

被害区分のレベル04には、「危機」から「災害」までの状況があてはまります。「危機」はより危険で深刻な状況を避けるため緊急対応を要する状況、「災害」は生命・財産などに損害があり苦痛を感じる状況です。

Level 05 惨事~大惨事

被害区分のレベル05には、「惨事」から「大惨事」までの状況があてはまります。

「惨事」とは、多大の苦しみや悲しみをもたらす災害や不幸のこと、「大惨事」は個人あるいは特定の集団における悲惨な結末(大破壊・大量の死)をもたらす大惨事、破滅、破局のことです。

フェーズフリーの非常時は小さな出来事から災害まで幅広い

“非常時”という言葉には、日常とはかけ離れた悲惨な状況というイメージがあります。しかしフェーズフリーでは、いつもの暮らしの快適さが少しでも損なわれた状況も“非常時”であると考えます。

小さな出来事から大惨事までの幅広い被害レベルで非常時の課題は存在しています。「被害のレベル」では01から05までの5区分が設定され、商品やサービスの対応課題をより明確に意識できるようになっています。

「被害のレベル」を参考にフェーズフリーな商品やサービスが多数開発され、社会のあらゆる場所で利用されることによって、幅広い段階での課題解決につながるよう願っています。