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フェーズフリーな商品・サービスを開発する際に必ず意識していただきたいのが4つの視点です。それぞれの視点から具体的な検討を行うことにより、その商品・サービスに必要なものが見えてくるかもしれません。
フェーズフリーの4つの視点について詳しく解説します。
4つの視点は商品の汎用性を明らかにするためにある
フェーズフリーデザインの評価には「日常時・非常時にどのくらい幅広いシーンで役立つか」という「汎用性」と、「それぞれのシーンでいかに高い機能を発揮できるか」という「有効性」のふたつの軸があります。
ある商品やサービスがフェーズフリーであると評価されるためには、「汎用性」と「有効性」の双方で一般的な商品と同等かそれ以上の価値を提供できることが必要です。
4つの視点は「汎用性」が高いとはどういうことかを検討する際に非常に役立つものです。
視点why:プロブレム
まずはその商品やサービスがどのようなプロブレム(課題)に対応するものなのかを考えてみましょう。フェーズフリーでは快適な「日常時」の生活が理想の状態であり、日常生活の心地よさが損なわれるのはプロブレムが発生したときです。
フェーズフリーのプロブレムとは、さまざまな災害や被害の要因となる“危機(ハザード)”のこと。危機の種類は自然由来のものと人的由来のものの2種類に区分されています。
自然由来のものには地震、津波・洪水、火山噴火、台風・竜巻、雷、熱波・寒波、病原体など、人的由来のものには交通、エネルギー、武器・兵器、情報などがあります。
このようなさまざまな危機を解決し、日常の心地よさを非常時にも保ってくれるのがフェーズフリーな商品やサービスです。
視点where:ロケーション
次にその商品やサービスがどのようなロケーション(場所)に対応するものかを考えてみましょう。
フェーズフリーな商品やサービスについて考える際には、日常時・非常時のそれぞれで利用可能なロケーションをイメージする必要があります。
屋内・屋外・家・ビル・施設や、山・海などの自然、街やエリア、国や地球規模など、さまざまな場所を想定することが可能です。
視点who:ターゲット
さらに商品やサービスがどのようなターゲットに用いられるかを考えましょう。
ターゲットとは、そのプロダクトやサービスを“利用する人(ペット等の生きものも含む)”です。年齢・性別・国籍など、あてはまるすべての利用者を想定します。
赤ちゃんから高齢者まで、フェーズフリーは日常時だけでなく非常時もすべての人々と生きものに関わります。
視点when:タイミング
最後に、その商品やサービスがどのタイミングで利用されるかを想定してみましょう。
私たちの暮らしは「日常時」と「非常時」に分けられますが、「日常時」と「非常時」は一つのサイクルとしてつながっています。
「日常時」のわたしたちの暮らしは「非常時」の各段階(フェーズ)を経て再び「日常時」に戻っていきます。非常時の段階的な変化を詳しく見てみましょう。
01:災害予知・早期警報
自然の変化や予報・注意報などによって、迫り来る危機(ハザード)を察知します。
02:災害発生
危機(ハザード)が突発的に発生し、人的・物的・経済的被害をもたらします。
03:被害評価
緊急時の対応を迅速・適切に行うために、被害の程度を評価・把握します。
04:災害対応
被災者の救命・救助・救援活動と、2次災害防止の活動を行います。
05:復旧・復興
地域や社会が日常に戻るまでの期間。10年単位でかかる場合もあります。
このように「日常時」から「非常時」に突入して、ふたたび「日常時」に戻るまでの状況は、時間を追って変化し円を描くように連続的につながっています。この流れのどの段階で役立つ商品・サービスなのかを具体的に検討する必要があります。
4つの視点への意識がフェーズフリーなデザインを生む
フェーズフリーな商品やサービスについて検討する際には、「日常時・非常時にどのくらい幅広いシーンで役立つか」という「汎用性」が重要な評価軸の一つとなります。
一般的な商品と同等かそれ以上に幅広いシーンで役立つフェーズフリーなデザインを実現するには、why:プロブレム、where:ロケーション、who:ターゲット、when:タイミングの4つの視点を意識することが非常に大切です。
日常時も非常時も役に立ち、私たちの生活のあらゆるシーンを快適にしてくれるのがフェーズフリー。身のまわりにフェーズフリーを取り入れる際や商品・サービスの開発を行う場合などに、4つの視点を意識して検討されることをお勧めします。