フェーズフリーデザインの汎用性の評価とは

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フェーズフリーの価値を評価する際には、日常時と非常時における「汎用性」と「有効性」のふたつの指標に基づいて検討を進めます。

このうち汎用性の評価とは「日常時・非常時にどのくらい幅広いシーンで役立つか」を評価することです。

汎用性の評価は日常時・非常時の評価対象を4つの視点から分析することにより行われ、5原則のうち「01:常活性」に該当するものです。汎用性の評価について詳しくご紹介しましょう。

日常時と非常時の評価対象を4つの視点から分析

フェーズフリーの汎用性の評価では、フェーズフリーの4つの視点、すなわち日常時・非常時の両方のフェーズ(時間)における「Where:ロケーション」「When:タイミング」「 Why:プロブレム」「Who:ターゲット」のそれぞれの評価を円グラフに描きます。

フェーズフリーな商品・サービスと比較すると、日用品や防災用品などの評価は日常時あるいは非常時のどちらかに偏ってしまいがちです。それぞれどういうことなのか、具体的にご説明しましょう。

日用に特化した商品の評価

日用に特化した商品の評価グラフの例が上の図です。汎用性の評価では、利用できるロケーション、タイミング、プロブレム、ターゲットのそれぞれの評価を円グラフ上にプロットします。

円グラフの中心付近の色が薄い部分はベンチマークとなる商品の評価です。フェーズフリーデザインの評価は一般的な商品(ベンチマーク)と対象商品とを相対的に比較して行うため、グラフ上にベンチマーク商品の評価が記載されています。

日用に特化した商品の評価グラフの例では、日常時のグラフは色が濃く面積が広いため、商品が日常生活で利用できる場所やタイミング、対応課題や利用者がベンチマーク商品より幅広いことが読み取れます。すなわち日常生活では高い価値を提供できるということです。

しかし非常時のグラフではエリア全体がほぼ薄い色の状態であることから、評価はベンチマーク商品と同等か少し下回る程度であることがわかります。災害時における価値提供はごく限られたシーンになる、という評価の表れです。

日用に特化した商品は、日常時には幅広いロケーション、タイミング、プロブレム、ターゲットに対応できるものの、非常時での活用シーンは限定されている商品といえます。

防災に特化した商品の評価

上の図は防災に特化した商品の評価グラフの例です。非常時のグラフは色が濃く面積も広いので、利用できるロケーション、タイミング、プロブレム、ターゲットが幅広く、高い価値を提供できることがわかります。

一方で日常時のグラフは色が薄く面積も小さく、全体的にベンチマークの評価を大きく下回る結果となっています。ふだんの暮らしでは便利に利用できない、あるいはほぼ活用されないため、日常時に価値を提供することが難しいと評価されているのです。

防災に特化した商品は、非常時に対応できるロケーション、タイミング、プロブレム、ターゲットが幅広い一方、日常時の活用シーンを見出すことが難しい商品といえるでしょう。

フェーズフリーな商品の評価

フェーズフリーな商品・サービスは、利用できるロケーション、タイミング、プロブレム、ターゲットのそれぞれがベンチマーク商品より幅広いことが特徴です。結果として汎用性の評価の円グラフは、比較対象の商品のグラフと比べて全体的に濃い色になります。

また、円グラフの色だけでなく形も日用に特化した商品や防災用品の場合とは異なります。日常時・非常時を問わず利用できる機会が多いため、フェーズフリーな商品の評価グラフは全体の面積が大きくなり、形は全円に近づきます。

汎用性の評価はフェーズフリーの5原則のうち、01「常活性」に該当する項目です。常活性とは「いつも身のまわりに置いて便利に利用しているものを災害時にも快適に利用できること」。

日常時・非常時の両方のフェーズが一つの円グラフで描かれることによって、常活性というフェーズフリーの原則のひとつが直観的に理解できるよう表現されています。 ※5原則の「常活性」についてはこちらの記事で詳しくご説明しています。

汎用性の評価によって多様なシーンで役立つ特性が明らかに

汎用性の評価は、日常時・非常時の評価対象を利用できるロケーション、タイミング、プロブレム、ターゲットの4つの視点から行います。対象となる商品やサービスが、いかに多様なシーンで利用できる特性を持つかを評価するためです。

汎用性の評価では日常時と非常時の両方の評価が一つの円グラフで描かれ、いつも身のまわりで活用しているものを災害時にも快適に利用できる、という5原則の「01:常活性」に該当する評価が直観的に理解できるようになっています。

対象がいかに多様なシーンで役立つ特性を持つかを明らかにする評価方法で、フェーズフリーデザインの評価を構成する2軸のひとつです。次回はもう一つの評価軸である有効性の評価について詳しくご紹介します。