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フェーズフリーの5原則は「常活性」「日常性」「直感性」「触発性」「普及性」で構成され、各原則を表す言葉にはフェーズフリーとしての解釈が加えられています。
一般的な用語とは少し異なる意味も込められているため、5回に分けて各原則を詳しくご紹介します。今回は原則05の「普及性」がテーマです。
「普及性」は災害と直接関連する性質ではありません。しかしフェーズフリーの目的である “災害の解決”のためにはとても大切なものです。
思わずSNSでシェアしたくなるような新しさ・面白さによってその価値が一般に広まりやすいこと、それにより誰もがフェーズフリーな商品やサービスを身近に置く状況になること、そこにフェーズフリーの「普及性」の意味があります。
「普及性」が表すものとは
「普及性」という言葉で連想されるのは、社会で数多くの人に利用されているなど、広く世間に行き渡るという性質でしょう。
こういった一般的な性質以外にも、フェーズフリーの「普及性」には誰でも気軽に利用・参加したくなるという性質が含まれています。
具体的には、SNSでシェアしたくなる、思わず手に取りたくなる、使ってみて便利なので誰かにすすめたくなるなどの、利用や参加がしやすい性質のことです。
そういう性質の商品ならば、ふだんから利用する人が増え、もしもの時にもすぐに役立つ場所にあることで私たちの支えになってくれるのではないでしょうか。
フェーズフリーの「普及性」について詳しくご説明します。
普及性を構成する要素とは
フェーズフリーの「普及性」では、新規に創生された要素があるか、価値共有は可能か、が評価対象になります。
具体的には、商品やサービスに新しさや面白さを感じるか、気軽に利用できてまわりに広めたくなる商品やサービスかどうかといった点を重視します。
これまでにない新しいアイデアやデザイン、思わずSNSで発信したくなるような面白さがあるか、あるいは実際に自分で商品を利用したいと感じその良さを誰かと分かち合いたくなるか、といった部分が大切です。
一般的な商品と同等かそれ以上に気軽に利用でき、まわりに広めたくなる要素の評価が高い場合には“普及性が高い”と考えられます。
普及性が高い商品やサービスの具体例
例➀ 紙コップ メジャーメント
「紙コップメジャーメント」は「ml/cc 」「合」「カップ」の目盛りをデザインに融合。“飲料を飲む”という用途以外の新しい紙コップ利用法を提案しています。思わずSNSでシェアしたくなる新しさや面白さが感じられる商品です。
例② バリクリーン
非常時には避難所等として利用できるゴミ処理施設「バリクリーン」。日常時は地域に開かれた場所としてスポーツやイベントに活用されています。ふだんから利用しやすい身近な場所が、もしもの時には避難所等として利用できるという安心を実現しました。
例③ 南池袋公園
豊島区にリニューアルオープンした「南池袋公園」は、災害に備えるためだけ、あるいは日常のくつろぎのためだけの場所ではありません。日常の空間の豊かさが連続的に災害時の価値提供につながるという新しい価値を打ち出し、幅広い支持を得ています。
「普及性」は“さまざまな気づきを与える”性質を表す原則
フェーズフリーの5原則のうち「原則05:普及性」が表すのは、どんな人でも気軽に利用したり参加したりできて、安心で快適な社会づくりにつながる性質です。
商品やサービスに新しさや面白さを感じるか、ふだんから気軽に利用できてまわりに広めたくなるか、といったことがポイントになります。
商品やサービスごとに異なる特性を活かし、私たちの暮らしを心地よいものにしてくれるフェーズフリー。「原則05:普及性」は誰でも気軽に利用・参加でき、安心で快適な社会の実現につながる性質を表します。
これまで5回にわたり、フェーズフリーの5原則である常活性・日常性・直感性・触発性・普及性を詳しくご説明してきました。
5原則に基づいた商品やサービスが次々と世の中に生み出されることにより、日常時・非常時の区別なく常に快適な暮らしができるフェーズフリーな社会の実現に近づいていくことでしょう。
今後ますますフェーズフリーな商品・サービスの開発事例が増え、利用シーンが拡大することを期待しています。