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フェーズフリーな商品やサービスはAからDまでの4つのカテゴリに分類されます。この区分は、私たちがフェーズフリーな商品やサービスの価値を授受する方法を4つに分けたものです。

この区分を考慮することで、フェーズフリーな商品やサービスの価値提供の考え方が整理しやすくなります。4つのカテゴリを詳しくご説明します。

フェーズフリーのカテゴリは価値提供の4つの方法

フェーズフリーは難しくて敷居の高いものではなく、誰でもいつでも気軽に取り組める考え方です。

カテゴリに基づいて4つの価値提供方法を検討すると、考え方を整理しやすくなると同時に商品・サービスに関する発想を広げられる可能性があります。

AからDまでのうち、カテゴリAは「防災及び特定の職業・趣味などで日常的に利用している商品やサービスを、日常時・非常時の区別なく役立てること」です。

カテゴリBは「利用方法の提案によりフェーズフリーの価値を提供する方法」、カテゴリCは「商品やサービスが日常時も非常時も同じフェーズフリーの価値を提供する方法」です。

カテゴリDは「日常時とは別に、災害時に役立つフェーズフリーの価値を発揮すること」です。以上4つのカテゴリについて詳しくご説明します。

カテゴリA 防災及び特定の職業・趣味などで日常的に利用している

カテゴリAは防災用品や専門性の高い道具など、特定の状況でしか使われていない商品を日常時にも利用することです。

例えばアウトドア用のテントやコンロを避難生活で利用したり、工事現場で働く人が災害から避難する際にヘルメットを使用したりする場合などがあてはまります。

このように職業や利用シーンによってはふだんから使用する人がいるものの、誰もが使っているわけではないものをいつもの暮らしに取り入れ、非常時も利用できるようにすることがカテゴリAの特徴です。

カテゴリB 利用方法の提案によりフェーズフリーの価値を提供

カテゴリBはすでに存在する日常時に役立つモノやサービスに、非常時での利用方法を提案することによりフェーズフリーの価値を提供する方法です。

たとえばペットボトル入りの水をローリングストックとして利用することは、フェーズフリーな価値提供の方法です。

ローリングストックとは、日頃から利用しているものを非常時の備蓄としても利用できるよう一定量購入し、製造日の古いものから使い、使った分を買い足して常に備蓄がある状態にすることです。

日常的に水を一定量買い置きして便利に利用することが、いつの間にか非常時の備えになっています。

水のペットボトルそのものはフェーズフリーな商品とはいえませんが、ローリングストックとして利用することはフェーズフリーな提案です。

カテゴリC 日常時も非常時も同じフェーズフリーの価値を提供

パワータンク

カテゴリCは、基本的な用途や機能は変わらず、日常時も非常時も同じフェーズフリーの価値を提供し続ける方法です。

身近なモノの例として、ボールペンで考えてみましょう。ボールペンはふだんから便利に利用されている筆記具のひとつですが、通常のボールペンはペン先が上向き・横向きの状態のままでは書き続けることができません。これは重力でインクを押し出しているからです。

しかし“パワータンク”というボールペンは、インクタンクを加圧する仕組みによってどのような姿勢でも変わらない書き心地を実現しました。加圧によりペン先から浸水することがないため、非常時には雨天の屋外で濡れた紙に筆記することも可能です。

このように、“書く”という機能は変わらないまま日常時も非常時も同じフェーズフリーの価値を提供できることから、パワータンクはカテゴリCの例といえます。

カテゴリD 日常時とは別に災害時に役立つフェーズフリーの価値を発揮

カテゴリDは、本来持つ基本機能が非常時に別の用途・機能でフェーズフリーの価値を発揮する方法です。プリウスPHVを例にご説明しましょう。

プリウスPHVは、電気自動車(EV)と従来のハイブリッドカー(HV)の長所を併せ持つPHV(Plugin Hybrid Vehicle)です。電気モーターとガソリンエンジンという2つの動力源を持ち、近距離の移動は自宅コンセントからの充電でEVとして、長距離の移動は燃費の良いHVとして日常的に利用することができます。

非常時には大容量バッテリーからの給電が可能で、エンジンを作動させ発電機としても利用できます。車内2カ所のコンセント、ワンタッチで装着可能な防水コネクタで移動する電源として屋外でも活用できるほか、家庭用コンセントに接続して停電時に電力を供給できる点が注目されています。

PHVに備わる大容量バッテリ―とその給電能力が、非常時には移動可能な電源あるいは家庭用の電源という通常とは異なる用途でフェーズフリーの価値を発揮する点が、カテゴリDに該当する理由です。

4つのカテゴリで伝える・伝わるフェーズフリー

AからDまでの4つのカテゴリは、フェーズフリーの商品やサービスの価値を伝える、あるいは価値を受け取るための方法です。その商品やサービスがどのように価値提供できるのかを考える際に役立つもので、まとめると下記のようになります。

フェーズフリーのカテゴリ

 カテゴリA:防災及び特定の職業・趣味などで日常的に利用している

 カテゴリB:利用方法の提案によりフェーズフリーの価値を提供

 カテゴリC:日常時も非常時も同じフェーズフリーの価値を提供

 カテゴリD:日常時とは別に災害時に役立つフェーズフリーの価値を発揮

4つのカテゴリに基づいた検討を行うことにより、価値提供に関する考え方が整理しやすくなるとともに視点を広げられる可能性があります。フェーズフリーな商品・サービスのアイデアを具体的な形にするために役立てていただければ幸いです。