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フェーズフリーは5つの原則に基づいた商品やサービスによって実現されるものですが、この5原則は何を目的として定められたのでしょうか。5つの原則にこめられた想いをお伝えします。
フェーズフリーの5原則は方向性を示すもの
フェーズフリーの5原則はフェーズフリーが目指す方向性を簡潔に伝えるためのものです。商品やサービスの評価やフェーズフリーな商品・サービスがどうあるべきかを考えるために利用できます。
プロダクトデザイナー、建築家、防災・マーケティング・経営・ユニバーサルデザインの専門家からなるグループによりまとめられたもので「常活性」「日常性」「直感性」「触発性」「普及性」の5原則で構成されています。
それぞれの原則を「紙コップメジャーメント」を例にご説明しましょう。
原則01:常活性
「常活性」とは「日常時も非常時も快適に利用できる性質」のことです。
商品やサービス本来の機能を活かして私たちの暮らしを支えてくれることを「常活性」と呼びます。
例えば「紙コップメジャーメント」は、日常時はオフィスの雰囲気になじむおしゃれな紙コップとして使用できます。デザインが目盛りの役目も果たすので、非常時には計量カップとしても利用可能です。
このように日常時・非常時を問わず、どのような状況においても快適に用いることができる性質が「常活性」です。日常の価値をそのまま発揮する場合もあれば、非常時には日常時と異なる価値を発揮する商品やサービスもあります。
原則02:日常性
「日常性」とは「日常の暮らしの中で心地よく利用できる性質」のことです。
先ほどの紙コップのようにシンプルでおしゃれなプリントなら、オフィスやお店・プライベートなど、どんなシーンでも違和感なく使用でき、その場の雰囲気を気持ちのよいものにしてくれます。
いつもの暮らしの中で、その商品やサービスを心地よく快適に利用することができ、それにより生活の質を向上させる役割を持つのが「日常性」です。
原則03:直感性
「直感性」とは「使用方法や消耗・交換時期などが分かりやすい性質」のことです。
「紙コップメジャーメント」にはボーダー状の色分けが施されており、3タイプの柄が3種類の単位に対応。色が目盛の役割を兼ねています。
フェーズフリーではこのように使用方法や消耗・交換時期などが分かりやすく、誰にも使いやすい・利用しやすい「直感性」を大切にしています。
原則04:触発性
「触発性」とは「気づき・意識・災害へのイメージを生む性質」のことです。
「紙コップメジャーメント」には、「紙コップの柄のデザインを変える」という費用的にも時間的にもコストが低い方法で「商品にこれまでにない価値を付加できる」という気づきがあります。
こういった例を知ることにより、商品開発を行う方には「自分たちにもフェーズフリーな商品を作ることができるはず」という意識が生まれることでしょう。また、利用者にとっては災害時の計量というニーズへの気づきになるかもしれません。
フェーズフリーな商品・サービスを通じてさまざまな気づきをもたらし、多くの人に安全や安心に関する意識を提起する性質が「触発性」です。
原則05:普及性
「普及性」とは「誰でも気軽に利用・参加したくなる性質」のことです。
「紙コップメジャーメント」には「使ってみたい」「SNSでシェアしたら喜ばれるかもしれない」と感じさせる新しさやこれまでにない価値があるのではないでしょうか。
このように「誰でも気軽に参加・活用ができること」や「広く普及していきやすいこと」をフェーズフリーでは「普及性」と呼んでいます。
5原則が伝えるものはフェーズフリーにこめられた想い
「常活性」「日常性」「直感性」「触発性」「普及性」の5原則には、フェーズフリーの目指す方向性が簡潔に表現されています。
言い換えると、日常時も非常時も快適に利用できる、日常の暮らしの中で心地よく利用できる、使用方法や消耗・交換時期などが分かりやすい、気づき・意識・災害へのイメージを生む、誰でも気軽に利用・参加したくなる、このような想いを凝縮した言葉が5原則です。この5原則すべてがあてはまるものを「フェーズフリー」な商品やサービスと呼びます。
フェーズフリーが目指すのは「繰り返される災害の解決」であり、5原則はそのための指針とでもいうべきもの。次回からは5原則を一つずつご紹介します。