審査委員会での議論を経て「事業部門」「アイデア部門」の各賞の受賞者が決定し、2022年9月10日(土)にフェーズフリーアワード2022 授賞式ならびにシンポジウム(パネルディスカッション)が執り行われました。来賓、受賞者、審査委員、実行委員、そして各メディアなど数多くの人が列席し、『フェーズフリー』を改めて考える一日となりました。
写真:豊島望
フェーズフリーアワード2022の授賞式の終了後に、『フェーズフリー』やフェーズフリーアワードの意義や捉え⽅、未来に向けての想いや期待などの意⾒を交換し合う、審査委員を中⼼としたパネルディスカッションが開催されました。
各審査委員と参席者が向き合う形で⾏われたこのパネルディスカッションでは今回、「⾝のまわりのフェーズフリー」という質問が設けられ、各審査委員が事前に回答を記載したパネルと共に独⾃の⾒解を発表しました。
各審査委員の専⾨的な視点から⾒たユニークな意⾒や独⾃の⾒解などが語られ、さらには来場者からの意⾒も発表されるなど参加者が⼀体となっての議論が繰り広げられました。『フェーズフリー』ならびに、来年に開催されるフェーズフリーアワード2023へとつながるパネルディスカッションとなりました。
質問に対するユニークな回答を審査委員それぞれが発表
フェーズフリーアワード2022の第2部として開催されたパネルディスカッションは、審査委員をはじめ受賞者、来賓、実⾏委員などが⼀堂に会して⾏われ、⾏政、暮らしと⾷、オープンイノベーション、デザイン、建築設計、防災⼯学といった、各分野の専⾨的な視点からの想いや意⾒が発表されました。
前回のアワードで課題として挙げられた「審査や評価の難しさ」や「より良いアワードにするための問題点」などが改善されたファシリテーションが実施されたことで、⾃由闊達な意⾒交換や発表ができる場となりました。また、『フェーズフリー』に関する議論がありながらも、防災やデザインといった専⾨的な意⾒も多く交わされ、今後はより深い『フェーズフリー』に関する議論が必要であるという課題も垣間⾒られました。
パネルディスカッションの後半では、参加者による「⾝のまわりのフェーズフリーとは?」の問いに『新しい地域コミュニティ=多世代コミュニティ』という意⾒をはじめとしたさまざまなアイデアが発表され、改めて全員で『フェーズフリー』を考える良い機会となりました。
授賞式・パネルディスカッションを経て、フェーズフリー協会代表理事の佐藤唯⾏による「現時点における『フェーズフリー』を皆さまと⼀緒に考え、発信することができました。本アワードに関わっていただいたすべての皆さまによって、『フェーズフリー』は創りあげられているのだと実感しました。」という挨拶で、第2回⽬のアワードが終了しました。
テーマ「身のまわりのフェーズフリー」とは?
デザインや地⽅⾃治、暮らしと⾷や建築、さらには防災関連など、さまざまな専⾨を持つ各審査委員による、「⾝のまわりにあるフェーズフリー」をテーマにしたパネルディスカッションが開催されました。
前回のフェーズフリーアワード2021のパネルディスカッションでは、「フェーズフリーとは?」「フェーズフリーアワードに期待すること」という2つの質問が投げかけられましたが、今回はその他の内容も充実したことでシンポジウムの時間が短くなり、この⼀つのテーマに絞られました。
概念としてだけでなく具体的な事例で参加者の『フェーズフリー』への理解を促進することを⽬的として、各審査委員ならではの視点で「⾝のまわりにあるフェーズフリー」が紹介されました。
防災教育を専⾨とする阪本審査委員は『地域の拠点としての⼩学校』と発表し、地⽅⾃治を専⾨とする奥⼭審査委員は『近所づきあい』という独⾃の意⾒が掲げられました。
また今回から審査委員を務める⽟井審査委員からは、弱者への配慮が⽇常時にも⾮常時にも役⽴つという観点から『⼈の尊厳や、⼩さな幸せなど、⽣活の質を守るデザイン』と語られ、岩⽥実⾏委員⻑からはマーケティングやマスへの提案と⾔った視点から『太陽光発電にテスラ蓄電池』という意⾒が紹介されました。
その他にもそれぞれの専⾨的観点から、「⾝のまわりにあるフェーズフリー」が発表されました。それによって『フェーズフリー』の理解が促進されたと同時に、それぞれの専⾨性の⾼さゆえに、それをどのように“フェーズフリーに落とし込んでいくのか?” という懸念も感じられ、議論が展開されました。しかし今回は時間いっぱいとなり、また別の機会における課題となりました。
この⽇のパネルディスカッションでは、“「いつも」を良くする ” よりも、“「もしも」を良くする ” ⽅に重きを置いた意⾒が多い傾向が⾒られました。今回のアワードのテーマである『「いつも」を良くする。「もしも」も良くする。社会が変わる。』という⼤きな⽬標に向けた課題も顕在化することとなりました。
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